37万人の反対署名をどう生かすのか、政府の対応を注視!

使用済み核燃再処理工場の本格稼動を阻止する署名

 青森県の東海岸にある六ヶ所村の使用済み核燃料を再処理する工場は、建設後の試験運転で事故を起こし、修理をしている間に今度は耐震設計に誤りがあったと耐震工事が行われました。
 こういう状況のもとでも、工場を運営する企業は2008年2月から本格稼動を目指すという方針を変えていません。 
 再処理工場が稼動すれば、原子力発電所の400倍もの放射性物質が放出されます。沖合い3キロ深さ40メートルの放出口なので海水で希釈されるから安全というのが企業の説明です。
 
 これに対して、太平洋東海岸を漁場とする漁業者や消費者団体が、工場の本格稼動を阻止するための署名活動を昨年の夏から全国で展開してきました。 07年12月までの5ヶ月間で集まった37万筆以上の署名は、1月28日政府に提出されました。
 
 前日27日には、署名活動の締めくくりとして日比谷の野外音楽堂でイベントが行われ、各団体のアピールの後、銀座や八重洲で休日を過ごす人たちに、再処理工場の稼動阻止を訴えました。
 隣にいた地元青森から参加した小学生の「青森の海を汚すなー」と言う声に合わせてシュプレヒコールを叫びながら、子どもへの責任を大人はどう果たしていくのか、一度汚染された環境の回復は殆ど不可能なのにと、改めて怒りがこみ上げてきました。

消費者団体と漁業者の代表が37万人の署名を政府に手渡し 
 1月28日昼過ぎ、参議院議員会館の会議室は200人もの熱気であふれました。37万人分の署名用紙が入ったダンボール箱が積み上げられ、20人ほどの国会議員と署名活動を行ってきた団体の代表が座るテーブルの周りを大勢の市民が囲み、内閣府と経済産業大臣宛の署名提出とその後の「工場の安全性に対する質疑応答」を見守りました。
 漁業者の「私たちは今まで豊かな漁場を守るために環境保全に取り組んで来たが、放射能放出となればすべての努力は無駄になる」という怒りの声には説得力がありました。放射性物質は海流に乗って太平洋沿岸をくまなく汚染することになります。
 
 その後の質疑応答は、あらかじめ提出された質問への答えから始まりましたが、専門的な用語を多用する紋切り型の答弁に、国会議員からも批判が出ました。 「文書での答えを出す」ことになりましたが、質問への的確な答えを期待できるでしょうか。
 原子力保安院の担当者は
「現在安全審査の最中で、審査が終わらなければ稼動はしない」としたものの、「それなら2月からの稼動はないのでは」という質問に対しては明言しなかったため、会場は騒然としました。
 『放出日も事前公表していない』とのサーファーからの指摘もあり、原子力行政の隠蔽体質の元の再処理工場の稼動は止めるべきです。