雨の季節に危機感を持つ住民たち

2006年、調布でも都市型集中降雨で被害

 7月半ばになり、梅雨明けが話題になり始めました。
梅雨明け間際から秋にかけて東京はいつ集中豪雨に襲われるかわからない、そんな年が毎年続いています。

 2006年9月に調布市東部を流れる入間川が氾濫し、入間町3丁目の住宅に浸水被害があったことを覚えていらっしゃるでしょうか。入間川沿いに建つ武者小路実篤記念館の地下室も水浸しで、調布市もその修復に補正予算を組んで対応したのは記憶に新しいことです。
 あの時、床上まで浸水したという民家の方(仮名Iさん)のお話を聞くことが出来ました。ちょうど雨の日に、傘をさして現地で説明していただいたので、当時の状況も生なましく想像することができました。

 激しく降り続く雨の音に不安を抱きながら座っていたとき、階下の寝室でバタンと家具が倒れる音がして下に行くと、寝室の棚が倒れ、赤ちゃんが寝ていたベッドまで水が届きそうになっていたそうです。「親子で寝入っていた時間なら、子どもは助からなかったかもしれない」と今でも、恐怖が襲うそうです。
 「雨の降る季節は怖くて家を離れられない」「雨の激しい日は夜遅くまで入間川の様子を何度も見に出る」という彼女は、あのときの体験がトラウマになり、いまだに病院にかかっているそうです。

◆都市型水害の処方箋は?
 Iさんは、入間川を管理する東京都に対して、入間川の改修を申し入れました。管轄する北多摩南部建設事務所の返答は、「川底を深くすることも、フェンスを高くすることも出来ない。ここは50ミリ対応(1時間に50ミリの降水に対応する措置)が出来ているが、まだそれも出来ていないところがたくさんある。全部が50ミリ対応した後にそれ以上の措置をすることになる」というものだったそうです。
 結局、現在フェンスの内側に15センチほどのブロックが積み増されています。
 100ミリ対応の改修をしたとしても、当日の雨の激しさはそれを上回る勢いだったと言います。近年の都市型洪水にどう対応すべきか、従来の知見や技術で大丈夫なのでしょうか。
 簡単に解決は出来ないとしても、大雨に怯えている人がいることは知っておきたいと思います。