日本の教育、このままでは日本の未来はない!

リヒテルズ直子さんの講演を聴いて・・・


□世界でもっとも悲惨な日本の子ども・・・?
こんなに豊かな日本の子どもがそんなはずないって誰でも思います。でも、アンケート調査から見た日本の子どもは確かに悲惨です。
その1 15歳の子どもの28,9%が「孤独を感じる」と答えています。先進国の平均は5%〜10%なのに。 
その2 自傷行為をしたことがある高校男子7%、女子12,5%。 
その3 15〜19歳の死因の第2位は「自殺」

私もわが子の送った学校生活には疑問符だらけでした。もっと言えば、自分自身の学校生活も暗記だけの勉強だったような…

□日本の教育ではだめ?
リヒテルズ直子さんは比較教育学者で、1996年からオランダに住んで、オランダと日本の教育を目の当たりにしただけでなく、教育学者の目で研究してきた方です。彼女は「オランダの子どもたちが受ける教育と日本の子どもたちが受けている教育を比較すると、この子どもたちが大人になった時、どれだけの差が現れるのか私は本当に恐ろしい」と語り、その理由をはっきりとした口調で語られました。その話の一つ一つに「そうなのよね!」と頷きながら耳を傾けた1時間半でした。

□オランダと日本、何がちがうのか。
オランダでは1960年代後半から70年代にかけて、それまでの権威的な画一教育(今の日本の教育そのもの)から一人ひとりの子どもの発達を保障する個別教育への転換を図り、40年かけて改革してきた結果、今オランダの子どもたちは世界で最も幸福度の高い、学校でのストレスの少ない、しかも高いレベルの学力を身につけるまでになりました。
日本の子どもたちが長時間の詰め込み教育に追われているのに比べると、かの地では高校卒業資格を取ればどの大学にも入学でき、しかも23歳までなら自由に転校もできます。その卒業資格もぺーパーテストの割合は低く、研究プロジェクトの企画運営などが評価されて点数になるなど、学びの本質とかかわる違いが明らかです。

□日本にいると陥りやすい落とし穴
会場からの質問に①「問題のある子どもは親が問題ということが多いが、教師は親を指導する権利がないのは問題」というものがありました。また、②「教員は世間知らずが多い。社会人経験者が教員になるほうがいいのではないか」というものもありました。一見同調しそうな質問ですが、リヒテルズさんの答えはいずれも明確にNO.①には「こどもの権利の代弁者はまず親です。親に真に代弁者としての権威を認めれば学校に無茶な要求はしないはず」②に対しては「学校という聖域にあえて世間ずれ、それも産業第一主義にまみれた人材を入れることはない。学校は、卒業してから世間の荒波と戦うための正しい知恵を得る場であり、理想の環境を整えることが可能な場として確保すべき」というものでした。学校の先生が問題を抱える家庭の子どもの対応に苦労している現状や、学校が閉鎖されていることが問題を引き起こしているとおもいがちです。しかし、もっと根深いのは、学校を真に民主的な場としていない現在の状況です。

おりしも日本人学者2人がノーベル賞を受賞して、日本人の能力の高さが評価されたような時期でしたが、この講演会を聞いて、少数の優秀な日本人のことではなく、大多数の国民が社会人として成長していくことを保障する教育へと舵を切らなければと強く感じました。