災害時の一大事 トイレ問題に切り込む

武蔵野の森公園の防災機能を視察に行きました

災害時のトイレ対策は、住民にとってはおおきな問題です。多摩地域南部の東京ネットメンバーで、おそらく最善の策を講じているだろう東京都の防災公園での対応を知るため、都立防災公園である武蔵野の森公園を視察、東京都と公園の指定管理者公園協会の担当者の話を聞きました。

多摩地域で数少ない防災機能を持つ都立公園
 武蔵野の森公園は調布飛行場をはさんで、北地区と南地区に分かれ、全体では常設のトイレ6棟のほか、災害時にはマンホールトイレが187か所設置可能となっています。
 当日は、見本としてマンホールトイレ1基が組み立ててありました。専用のマンホールを開けて、その上に便座を置き目隠し用のテントを置いて使用します。
 中に入ってみるとテントが狭い、低いなど使い勝手に問題がありますが、担当者からは収納の関係でコンパクトなものとの説明されました。それにしても、大柄な女性でも「これでは無理」というぐらいの狭さですから、男性には使えるのか心配です。
 マンホールは公共下水道につながっていますが、下水管が損傷した場合に備えて2トンの容量を持つ貯留施設も設置されています。3日間はこれで持つという想定だそうです。そばには、手動式の井戸も設置され、マンホールの汚物を下を流すようになっています。9月には、地元の自治会などと一緒に設置訓練を行う予定だそうです。

支援拠点と避難所としての役割
 その後災害時には自衛隊のヘリポートや車両基地になる朝日サッカー場に移動して説明を聞きました。サッカー場はフェンスで仕切られ、住民が入らないようにできるので自衛隊や消防の拠点として使用するとのことです。
 市民の避難場所や仮設住宅の建設は芝生広場が予定されています。池の水は雨水と井戸水(1時間に15分間自動的に汲み上げ)。大雨の時の調節池の機能もあり、その後は地下浸透させているので下水道には一切流していないそうです。
 当日は日差しの強い炎天下で、真夏にここに避難することになったら大変だなと思いました。

防災公園での被災者支援について意見交換
 飛行場そばにある掩体壕の見学の後、質疑応答を行いました。
 防災公園には個別に「震災時利用計画」があり、職員向けの「武蔵野の森公園防災推進計画」も策定して震災時の対応を定めています。地域への周知は別途「東京都地域防災計画」によって行いますが、東京都の計画は現在見直し中で、改訂は2012年9月の予定。
 地域との連携については、特に顔の見える関係を重視して近隣住民との防災訓練や協議は積極的に行うことにしているとか。公園も3市にまたがっているので自治体間連携と役割分担を行い、備蓄倉庫のカギの保管についても自治体、自治会と相談していく予定です。ネットからは、おがくずトイレ用におがくずを備蓄することを要望しましたが、おがくずがそうは出ないこともあり、将来的にも考えていないとのことでした。

訓練を通して、最適な避難所運営を
 防災拠点になる都立公園が近くにあれば安心感があると思っていたが、日陰のほとんどない大きな芝生広場が避難所になると聞いて、季節によっては大変な状況も生まれると感じました。
 時と場所を選ばず、発生する災害の規模も想定できないなかでは何があるから安心などということはないのでしょう。
 今回の目的だった防災トイレも、マンホールが近すぎるとかテントが小さいとかの指摘があったが、とりあえず下水道が破壊されても当面は使える設備があるのは心強いといえます。ただ、男女のトイレを離すよう言ったときに、管理する公園協会の職員が驚いたような顔をしたのは、トイレ付近の危険を実感していないためでしょう。阪神大震災でも隠されていた事実を防災公園の管理者自身が知らないのは問題です。