遺伝子組み換え食品の2重の脅威
昨日6月9日、新宿で開催された「生活クラブ生協東京」の総代会に出席しました。
その中で新たな食べ物に関する大きな政策転換が、今国会で密かに行われていることが語られました。
遺伝子組み換え食品に対しては、生活クラブは当初から一貫して反対してきました。遺伝子操作することでどんな健康上・環境上の被害が起こるか分からないということに、多くの組合員は危機感を持って、「遺伝子組み換えフリーゾーン宣言」などの活動で反対の意思表示をしてきました。
遺伝子組み換え技術に対しては、そうした安全上の問題と共に、種子の汚染と毎年の買い取りという経済上の問題もあります。畑の地域を越えて飛んできた遺伝子組み換え小麦に汚染されたカナダの農家が、汚染させた張本人の種子会社から「遺伝子組み換え技術を盗んだ」として訴えられるという事件が1990年代に起きています。本来は遺伝子組み換え技術で農家の畑を汚染した種子会社こそ汚染源として訴えられて当然の事件です。
今国会で行われたことは、カナダで起きた事件を後押ししたアメリカの法律に倣う法律改正です。日本は戦後の食糧難の時代に、最低限の国民の食糧を確保するため、米、麦、大豆を主要農産品として、各都道府県の奨励品種の指定や種子審査制度、原原種・原種の生産などを保障してきています。各都道府県には農産物試験場があり、日本の農産物の品質向上と農家の自立を助けてきました。
今国会で、政府は「現行制度は、民間参入の機会を奪っている」として種子法を廃止してしまったのです。これによって、都道府県が税金で行ってきた種子の保全が出来なくなり、民間種子会社がこれまで農家と行政が協力して向上させてきた高品質の種子を買い上げ、一代限りの遺伝子組み換えという操作を加え、農家は毎年、農薬とセットになっている遺伝子組み換えの種子を種子会社から買わされるということになります。日本でもすでに種子法に定められていない農産物は毎年種子を買って生産されているということです。現政権はだれの利益を守るのでしょうか。
そうなればどうなるか。農業はますます衰退し、食糧自給率はますます下がります。今あふれる食糧を目の前にして、飢餓の実感はないかもしれません。しかし、安心できる食べ物かどうか、生産者と一緒に消費者が参加して築いてきた安心は失われます。「売ればいい、買えばいい」の農業政策の落とし穴をしっかり見つめてみませんか。
明日、調布市民プラザあくろすで行われる「遺伝子組み換えルーレット」は、遺伝子組み換え食品から自分の子どもを救おうと運動しているアメリカのお母さんたちの映画です。種子法が廃止された今、日本の明日の姿と思って見ていただきたいと思います。問題の真の姿を知り、考えてみませんか。
日 時:6月11日(日) 13:30~15:15
会 場:調布市市民プラザあくろす2階 第1会議室
(京王線国領駅下車 北口徒歩1分 コクティー)
定 員:30 人
参加費:無料
主 催:生活クラブ運動グループ 調布地域協議会