さて、今年初めての報告は,市内小学校のビオトープのことです。
このビオトープは、2年前、校庭にある災害用井戸の井戸水を活用して作られました。当初は楕円形の池でしたが、昨年布田小「おやじの会」の会員の手で掘りなおされ、写真にあるような、蛇行する川のような形に変わりました。
校長室での校長先生のお話
昨年初め、調布市で下水道工事を行っていた事業者に無償で井戸にポンプを取り付けてもらったそうです。常時井戸の水が流れ込むようになって、池の形も流れている間に水が空気に触れるようにと変えて、校内の別の池からヤゴと魚を移したところ、しばらくして姿が見えなくなったのだそうです。
魚が消えたのは池の水に問題があるのか、ビオトープがちゃんと根付くのにどうしたらいいのか、専門家の意見が聞きたいと校長先生が環境管理会社の専門家Iさんを学校に呼ばれたということです。
外に出てビオトープの観察
ポンプの力が強くて汲み上げる水量が多すぎるので、排水用の溝もあります。夏には校舎にかかるグリーンカーテン用の水遣りにも使えるようにと、校庭に配水管も引いたそうです。
池は井戸水の流れ始めは浅く幅も狭く、最後には幅広で深い池になっています。水面にはアオコがかなり浮いていますが、季節のせいか、水草も少なく虫や魚の姿も見えません。
隠れるところがあれば住みやすい池になる
Iさんが水温や水質を検査する機器を持ちこんで検査しましたが、水温は約17度とかなり暖かく、水質も生物が生息するのに不都合はないということでした。
Iさんは「アオコがいるということは栄養があるということ。水質的にも問題はなく、ただし身を隠すところがないとサギや猫に食べられてしまうし、魚も増えない。まず手ごろな石や穴のあいたブロックなどを水にいくつか沈めて、魚の避難所を作ったらいい」とアドバイスされました。ちょうどその時、校長先生には池の底の石の下に魚影が見えたそうです。
校長先生は、「魚の姿が見えて安心しました。水質や水温に問題がないとも言っていただいたので、今後動植物が住みやすい環境になるように、子どもたちと一緒に考えていきたい」ということでした。
市民・事業者の協力で豊かな環境教育を
実は、このビオトープの水底に敷いてある防水シートは、環境NPOエコメッセというリユースショップが調布店の売上げの中から一部を寄付して買ったものです。私もこのNPOの一員として今回、その後の様子を見学させていただいたというわけです。
こうしたNPOや「おやじの会」という市民、ポンプを設置した下水工事業者と学校という、立場の違う3者がこのビオトープには関わっていることになります。 布田小にはこのほか、ビール会社の寄付で、太陽光発電施設も設置されます。
市民や事業者が学校に関わって子どもたちの環境教育を一緒にやっていく、こういう動きが調布市全体で広がるといいですね。
調布・生活者ネットワークも、こういう動きを作っていくための活動に取り組んでいきたいと思います。(事務局長 八木昭子)