特定秘密保護法案は廃案に

     特定秘密保護法案が11月26日、衆議院特別委員会で強行採決され、衆議院本会議を経て、参議院での審議に入っています。しかし、秘密指定の範囲や、基準や運営ルールなどが明確にされず、国・行 政の裁量権だけが拡大される一方、歯止めとなる運用の監視が整備されていないなどの危険要素満載の法律案です。

 この法案に対しては、弁護士やジャーナリスト、宗教者など幅広い層から反対の声が上がり、11月21日、日比谷野外音楽堂を会場に開かれた反対集会には1万人の市民が集まりました。そこでは、各界の代表が法案成立後に懸念される事態をそれぞれあげました。

 「ジャーナリストの取材・調査は不当なものでない限りにおいてできるということは、不当かどうかということを確認するためとして、まず取り調べありきになる。密室での取り調べがどんなものになるかは明らか」、「一般国民が秘密に接することはないから大丈夫という答弁があったが、バードウォッチングをしていて、たまたま自衛隊の演習に遭遇してそれをブログに書いたら「漏えい」として警察に呼ばれる。こういう事例を積み重ねて、市民の口をふさいでしまうことがこの法律の本質です」など、それぞれの立場からの反対アピールがありました。

 翌22日に参議院議員会館で行われた院内集会では、太平洋戦争を経験した世代から戦後世代まで、各世代の国会議員、文筆・論壇界や宗教関係者、市民運動家などが集まりました。生活者ネットワークからも小松久子都議が発言し、「東京都教育委員会では、20人の傍聴者に10人の監視者が付いていることが明らかになった。こんな体質の国で秘密保護法ができたら、どんなことになるのか」と、危機感を述べました。

 私たち、生活者ネットワークは、政治への市民参加を進めるため、行政情報、議会情報が不可欠であると考え、情 報を公開するしくみを進めてきました。防衛やテロという“非日常”な問題に限定していれば市民には関係ないという人もいるかもしれませんが、秘密指定の領域によっては、普通の市民生活にも踏み込んでくる可能性も十分あり得ます。1925年に制定された治安維持法が、戦争の遂行に従って一般国民を対象に横暴を極めた歴史に学ばなければなりません。