通信144号テキスト版

調布・生活者ネットワーク活動レポート144号

2024年4月25日発行

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第一回定例会 2024年度市長の基本的施策に対する質問

 

1.生活支援は権利を守る視点で

日本国憲法を守る義務を負うのは、市長や議員、公務員など権力者です。市の第一の責務とする生活支援は、市民の権利や自由を守る視点で展開するよう求めました。

2.新たな共生社会のビジョンは

共生社会は、人々が垣根なく互いを尊重し合うインクルーシブな社会です。障がいの有無に着眼点を置いたパラハートの理念をどう発展させるのかとの質問に対し、虐待防止センター相談体制強化や手話言語条例制定などに取り組むとの答弁でした。

3.子どもに障がいで分けない活動環境を

共生社会の基盤づくりには、子どもを障がいの有無で分離しない環境が不可欠ですが、日本は分離教育になっており、国連から中止勧告を受けています。市はこれまで通り全校、全学級で特別支援教育を進めるとの答弁でした。インクルーシブ教育の必要性を今後も訴えていきます。

4.ジェンダー平等推進を

2022年度の市正規女性職員の給与平均は正規男性職員の84.7%、意思決定に関わる女性職員は未だ15%台です。女性職員も能力を発揮できる環境づくりに取組むとのことですが、一度は女性副市長の登用を目指した市長の本気度が問われる問題です。

5.これが市民の参加と協働なのか?

行政から市民への信頼にもとづいた情報共有は、市民の参加と協働のまちづくりの大前提です。市が産官学との共創を市民の参加と協働の発展型としながら、議論のプロセスが市民に非公開であることは自己矛盾であり改善するべきです。

6.グリーンホール建て替えは市民参画で

調布駅前開発や総合福祉センター移転では、初期段階からの市民参画や市民の合意形成過程に課題がありました。グリーンホール建替えは、資材費高騰などの課題含め、情報を共有し、幅広い市民参画で進めるべきです。

7.市長の子どもの権利への認識は

国のこども大綱の筆頭には、「子どもを権利の主体として認識する」とあります。市長は、市の子ども条例もこの認識は同様との見解を示しました。それであれば、条例制定前から生活者ネットワークが求めている子どもオンブズパーソンをいち早く設置するべきです。

8.不登校対策に十分な予算配分を

市内の不登校児童生徒は、前年度比117人増の464人です。まずは休息する権利を保障し、教育と市長部局、民間や地域が連携して、自分に合った学びを自由に選択できる環境整備や経済的支援を進めるべきです。

9.男性にHPVワクチン接種は必要か

HPVワクチンは女性を対象に定期接種化されています。重篤副反応疑い報告が非常に多く、男性の接種による子宮頸がんや肛門がんの予防効果は限定的です。リスクについても情報提供し、性に関する知識の普及啓発にも取り組むとの答弁を得ました。

10.脱炭素社会実現に向けて断熱の促進を

家庭からのCO2排出削減には、家屋の断熱が効果的です。健康にも良く、電気代節約にもなる断熱促進を求めたところ、断熱フィルムに加え、玄関ドアや窓の断熱改修も補助対象にするとの前向きな答弁でした。

11.市内井戸のPFAS検査の継続を

PFAS(有機フッ素化合物)については、国際がん研究機関が発がんリスクレベルを引き上げ、欧米諸国はPFASゼロを目指すなど、予防原則に基づいた取組みが国際的に進んでいます。新年度も市内の防災井戸等の検査による環境モニタリングの継続を求めました。

12.農業施策に新しい展開を

農地の減少を食い止め、都市農業を守るには、若手の新規就農者と連携した新しい取組みや農業公園の活用が必要です。農業公園では、講座や収穫体験を開催し、都市農業への理解促進や農を支える人材育成への活用を目指すとの答弁でした。

 

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第一回定例会

2023年度補正予算、2024年度予算、条例改正18件、陳情2件、議員提出議案10件などを審査した。

2024年度一般会計予算に反対 ☹

上程時質疑

給食費無償化について質疑し、質の担保は継続されることを確認。アレルギーや宗教上の理由、不登校で給食を食べられない子ども世帯は補助の対象外であること、また就学援助対象者はすでに無償のため公的支援に変化はなく、子育て世帯の格差を広げる側面があること等への認識を質した。

予算に反対

2024年度の一般会計予算額は、歳入歳出それぞれ1065億円、昨年度比で67億円余の増、過去最大規模となった。老朽化が進む校舎やグリーンホールの建替えに加え、柴崎や西調布のまちづくり等、ハード整備を近い将来に見据え、歳入確保と経費削減の方針で編成された。基本計画策定時に予測していた額から65億円余超過した背景には、災害対応や緑地取得など緊急性の高いもののほか、給食費無償化(都補助1/2)や国の事業も多い。定額減税のような、選挙を意識したバラマキ的な税金の使い方も含まれるが、市は地に足のついた財政運営に徹するべきだ。

市長は市政運営の柱に「市民の安全安心の確保と市民生活支援」という抽象的かつ網羅的な表現を使っている。ここ一年、心を病み、相談や生活保護を利用する若者が増えるなど、世代を問わず格差は広がり続けている。市長は「生活に安心感をもたらす」、「ぬくもりややさしさを感じられる取組みを推進」と述べるが、行政の生活支援は法が認める市民の権利を保障することが目的だ。確固たる安心の保障を目指し、市民の命を守り、子どもの育ちを支えることを優先順位の先頭に据える政治姿勢が必要だ。

驚くべきことに、市長は予算の委員会審査のさなか、子ども発達センターの卒園式で園児に卒園証書を渡した後、名刺を配っていたと言う。予算審査に対する軽視ではないか。現在、日本の「インクルーシブ教育システム」では子どもがさまざまな特性で異なる教育機関に分離されている。共生社会を目指す市長として、そういった教育の世界を前に不安の中にいる保護者や、合理的配慮を必要とする子どもの声を聞くべきだ。代表質問において市長は、市の子ども条例も子どもが権利の主体との認識だという見解を示した。しかし、条例制定から約20年、市の子ども関連施策は保護者への子育て支援に偏っており、子どもの権利の視点に立った虐待やいじめの対応、ヤングケアラー支援、学童クラブの環境整備や不登校対策などは不足している。給食費無償化を全否定するわけではないが、今の子どもの命や人権、学び、育ちの保障、居場所確保が優先されるべきである。

新年度も市税収入は堅調だとの予測だ。しかし背景には、将来を心配する共働き夫婦の増加や一人暮らしの非正規雇用者の存在、固定資産税の増加もある。市長が市民生活の実態を把握し、すべての市民が参画し活躍できる調布のビジョンを示せば、市民にもその理念が伝わる筋の通った予算となるはずだが、課題があると判断し反対した。

補正予算7号・8号に賛成 😊

7号: 配布用防災備蓄品・物資輸送トラック・トイレカーなど災害対策、公共施設改修工事、年度末の過不足調整・基金積立など33億806万円余

8号:職員退職手当の不足分6700万円

◆総務委員会

▶職員配置において、現在は庶務や子育て関係には女性が配置されやすいといったジェンダーバイアスを市が意識して排除していることを確認▶子どもオンブズパーソン設置実現に向けて人材確保を要望▶︎市民参加プログラムの約束事の一つ、「市民意見のデータベース化」が未実施のため検討を要望▶︎自衛隊員募集に対する除外申請開始を評価。対象の子どもが主体的に考え判断できるよう支援を▶︎全国の75%の消防団で女性団員が加入。調布市は男性団員のみのためジェンダー平等の意義に理解を求めるよう要望▶地域防災計画には市民との協働で女性や子ども、性的マイノリティなど多様な声の反映を要望 など

◆意見書 ☹

「国の補充的指示」を含む地方自治法改正に反対する意見書を議会に提案したが賛成少数で否決。この改正は、国が必要と判断すれば、国から地方公共団体への権限を強めることができる内容を含んでおり、地方分権の後退が懸念される。

◆議会改革

議会報告会・陳情者説明・災害時マニュアル・オンライン会議・ハラスメント対応などについて議会運営委員会で議論中。より開かれた議会となるよう、ご意見をお寄せください。

 

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檻の中のライオンin調布 憲法を守るのはだれ?!

そもそも憲法は何のため、誰のためにあるのでしょう? 一つは国家の権力を制限するため、一つは国民の権利を守るため。

弁護士の棕(はんどう) 大樹さんは、国家権力を「ライオン」、憲法を「檻(おり)」に例えて、憲法の大切さを啓蒙するために全国を飛び回っています。923回目となる講演会が1月27日に調布のあくろすホールで開催され、子どもを含む56人が参加しました。

まず初めに「憲法を守らないといけないのは誰?①国民みんな②国民みんなじゃない」の質問に、参加者の答えは半々に分かれました。正解は②で、憲法99条には国会議員などの公 務員=国家権力を行使する側に守る義務があると明記されています。私たち国民は、国家権力が乱用されたり暴走したりせずに、みんなのために使われているのかをしっかり見ていく側=主権者です。なので、ライオンが暴走しないように憲法という檻の中に入っていただくというわけです。

しかし「日本は、主権者を育てるような教育システムになっていない!」という法律家としての問題意識が全国行脚の発端とのこと。ユーモアも交えたパワフルな棕さんの語りに会場からは笑い声も上がり、あっという間の2時間半でした。

憲法13条にある「一人一人の違いを活かして自分らしく生きていける権利」が守られるためにも、主権者としての声を届けられる選挙を始め、権力者側の言動に関心を持ち続ける必要性を再認識しました。

(Y.S.)

 

「その子にとっての良いこと」に寄り添う “子どもオンブズパーソン”を調布市にも

いじめや先生のこと、家族との関係にモヤモヤしていても誰にも相談できない、そんな子どもの声を受け止めて相談や救済を行い、その子がどうしたいかを中心に第三者的な立場から子どもの権利侵害に対して調査や勧告などを行うのが“子どもオ ンブズパーソン”です。

日本はこれまで国連の子ども権利委員会から子どもオンブズパーソン設置の勧告を受けており、こども家庭庁創設時には議論に上ったものの、こども基本法の要綱には盛り込まれず、未だ国の制度はありません。しかし、兵庫県の川西市を始めとして、自治体が独自での設置を進めてきており、小金井市でも2022年から2名(大学教員・弁護士)設置しています。

その取組のひとつを紹介します。ある小学生保護者から授業中の先生の暴言で子どもが学校に行きたくないと言っていると相談があり、実際の授業の様子や本人の気持ちを聞くために複数回その子と面談しました。「他の子が怒られているのを見ていて辛い。その気持ちを先生に伝えて欲しい」という希望が出たので、校長と面談し子どもの気持ちを伝え、担任への指導をお願いしました。後日、その子から先生が怒鳴らなくなり安心して学校に行けるようになったと報告があったそうです。

調布市でもこのように子どもの権利が守られるように、引き続き子どもオンブズパーソンの設置を求めていきます。

(K.D.)

 

木下やすこ 活動報告

1/4「不登校支援プランにパブコメを書く会 ③」zoom開催

1/6 困りごと相談会@府中公園

1/11 多様な学びプロジェクト主催 「シンポジウム~不登校当事者の実態と 1/ ニーズを把握し、官民共創でつくる効果 的な施策とは~」

1/13 市川房枝記念会2023連続講座 「安心できる子どもの居場所づくり」 (西野博之さん)

1/14 多摩ネット40周年記念講演 「インクルーシブ社会をめざすために」 (池田賢市さん)

1/17 都ネット子ども部会学習会・調布市子ども・子

1/18 市議会一部事務組合見学会

1/22 多摩南エリア生活者ネット不登校PT八王子市教育委員会視察

1/24 調布市西部児童館視察

1/29 都ネット環境部会学習会「PRTR制度を活用しよう」(槌田博さん)

1/30 都ネット新春のつどい (基調講演泉房穂さん)です。

1/31 市議会第1回臨時会

2/1 都ネット財政基礎講座(沼尾波子さん) ・2/6 実践編

2/5 東京都市議会議員研修会

2/7 調布市議会議員研修 「口腔ケアについて」

2/9 市議会予算内示会・ハラスメント研修

2/10-11 小金井市主催「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム2023

2/27-3/25 第一回定例会

2/28-29 市川房枝記念会主催 「国の第5次男女共同参画基 本計画と2024年度予算案について聞く会」

2/29 オンライン学習会開催 けよう」 「食品安全委員会のPFAS健康影響評価に声を届けよう」

2/5 PFAS都ヒアリング

2/8 国にPFAS対策の要望書提出

3/16 おしゃべりカフェ(終活について)

3/22 教育委員会傍聴・子ども子育て会議傍聴

3/24 日本ケアラー連盟主催フォーラム「日本の若者政策と若者ケアラー支援を考える」

3/26 調布市防災会議、国民保護協議会傍聴

 

 

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人・まち・風

羽毛は資源! 捨てないで!

環境まちづくりNPOエコメッセでは、グリーンダウンプロジ ェクトに参加し、古くなった羽毛布団やダウンジャケットなどを回収しています。

1羽の水鳥からダウン(ムネの毛)は10gしか採れず、1枚のダウンジャケットを作るためには10羽、羽毛布 団なら100羽の水鳥を食べなくてはなりません(野生の 水鳥の捕獲は禁止されている)。水鳥の消費量は中国が75%で、残り25%が西欧や日本です。ところが現在、生産農家の減少や動物愛護の観点に加え、もとも と生産国であった国(中国など)が経済力を持ち国内での消費量が増えたことなどにより、ダウンの供給量が減っているのです。

そうした中、「食用水鳥から産出された副産物である羽毛を循環させ、次世代につなげたい」との思いでグリーンダウンプロジェクトが発足し、今や多くの企業が参加

しています。羽毛は何度でもリサイクルでき、100年は 持つといわれています。また粗大ごみとして焼却すれば、 布団1枚から1.76kgのCO2を出しますので、リサイクルダウンはCO2の削減、省エネにも貢献する、人にも環境に も優しい代物なのです。

先般、回収された羽毛がどうリサイクルされるのか、三重県明和町にある河田フェザーの工場を見学してきました。工場では、除塵→洗浄→乾燥→冷却→選別などたくさんの工程を経て、赤ちゃんも安全に使える羽毛製品にリサイクルされています。限りある資源を大切に、不要なダウン製品は廃棄せずに下記までお持ちください。

(大倉)

エコメッセ調布店「てらのサウルス」☎042-487-3093

 

インフォメーション

*第2回定例会は6月3日に開会します。陳情書の 提出締切は5月29日の予定ですので、提出を検討さ れる方は早めにご相談ください。

*ご希望の方にPFAS出前講座を行っています。1~2 時間。場所の確保はお願いしています。無料。

 

調布・生活者ネットワークのメンバーになりませんか?

メンバーの素朴な声をもとに研究、調査を立ち上げ、 ネット議員を通して政策提案をしたり、一般質問につな げたりします。

現在、環境部会、子ども部会、福祉部会、食部会、 女性部会、平和・人権部会が活動しています。関心の あるテーマの部会があれば、お問い合わせください。