通信146号発行しました
活動レポート第146号
2024.10.25 発行責任者 八木昭子
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第三回定例会 一般質問
共生社会にはインクルーシブ教育が必要
「共生の充実」は調布市のまちづくりの柱の一つ。共に生きる 社会をつくる上で、子どもが障がいの有無にかかわらず共に学ぶインクルーシブ教育は不可欠だ。現在、日本の教育は「インクルーシブ教育システム」に基づいて進められており、「同じ場で共に学ぶことを追求する」とされている。しかし現実はどうか。子どもたちは個別指導のために普通学級や通級指導、特別支援 学級、特別支援学校など「多様な学びの場」に分けられている。「分離は差別」が国際的な認識であり、 日本の社会や教育は国連からも繰り返し指摘を受けていることから市の姿勢を質した。
「多様な学びの場」には連続性が必要
文科省は、個別指導をする上で「連続性のある多様な学びの場」の整備が必要と言っている。例えば、山梨県昭和町の小中学校では、個々の状況に合わせて普通学級や特別支援学級の授業を組み合わせた時間割を可能とすることで「連続性」を生み出している。障がいの有無にかかわらず共に学ぶ日常の中で、子ども達は助け合うことを自然に覚える
学校作業療法士の活用を
2022年の文部科学省の発表によると、通常学級の小中学生の8.8%に発達障がいの可能性 があるという。障がいは環境が生み出すという社会モデルの考え方にもとづけば、教室環境を改善する必要性が浮かび上がる。 そこで生活者ネットワークが提案しているのは、インクルーシブな教室環境づくりで重要な役割を果たす学校作業療法士の活用だ。配慮を必要とする子どもに直接支援しつつ周囲との関係性の調整も行う専門家で、4名を専門家チームに配属しているが、活用を進めるため全校配置を求めた。
はしうち教室で多様な学びの応援を
はしうち教室は、2018年に大町小学校跡地に設置された、国内初の分教室型不登校特例校(今春から「学びの多様化学校」に名称変更)である。子どもの実態に合わせた、従来の教育課程にとらわれない教育が展開されているが、毎日登校できている生徒が半数程度しかいない状況は設置当初から続いている。不登校対策の拠点校として、より子どもに寄り添った運営がされるよう、フリースクール等との連携による子ども主体の多様な学びへの応援体制を強化するとともに、特別支援教育の視点を含むきめ細やかな支援を充実するよう求めた。
断熱ワークショップでCO2排出を減らそう
建物の断熱化は2050カーボンニュートラルに向けて日本が率 先して取り組むべき課題の一つだ。もともと校舎にはエアコンを 置していなかったため断熱という発想がなく、市内でも増設、新設以外のほとんどの校舎が無断熱である。体感温度は室内の気温だけではなく、壁や天井、窓などからの輻射熱を加えて算出される。無断熱の天井は外気温の影響を強く受けるため、エアコンの設定温度を下げても体感温度は下がらない。
小中学校の普通教室にはエアコンが2台ずつ設置されているが、昨今の温暖化の影響でエアコン使用量は増加、ガスエアコンのためCO2排出量も増えている。統計開始後、最も暑い夏だった2023年度のガス使用量は前年度比約2倍だ。ゼロカーボンシティ宣言都市としては、快適な学習環境確保を最優先としつつ、校舎の断熱性能を上げ、エアコン使用量を減らすよう努 めるべきだ。
現在、文部科学省も校舎のZEB化促進を図っているが、大規模改修を待っていては間に合わないため、地域の工務店などの協力を得て、教室の断熱ワークショップ導入を求めた。環境学習にも教室の環境改善にもつながるため、調査研究を進めるとのことだ。
第三回定例会
上程時質疑
2023年度決算審査に先立ち、定例会初日に一般会計歳入歳出決算と下水道事業会計決算について質疑した。
下水道事業会計決算への質疑から
2023年度決算では、下水道施設の更新への支出や補助金や企業債などの収入を扱う「資本的収支」がマイナスとなった。その背景には、下水道ビジョン策定時には想定していなかった建設原材料の急激な高騰がある。こうした傾向からも、下水道事業経営戦略改定検討に係る専門委員会では現預金残 高がマイナスに転じる時期が計画策定時の見込みより20年早まり2032年度になる見通しが示されている。対策の一つとして下水道料金の値上げが必要との意見もある。市の下水道料金は20年以上改定されていないため、ある程度の値上げも検討の余地はあるものの、人口減少も控えており、そもそれだけで下水道施設老朽化に対応し切れるのか。下水道は重要なライフラインであり、完全民営化は避けなければならない。
2023年度一般会計歳入歳出決算に反対
株式収入にかかる税の交付額や生活保護費の増額を見れば、格差の問題は調布市でも他人事ではないことは明らか。子育て世帯対象の調査でも同様の傾向が見られる。税の再配分により、固定化し子世代に引き継がれる格差の是正に注力するべきだ。特に安定した住居確保や必要な子どもに確実に届く食支援など、生活の実態に即した継続的な支援策が求められているが、市の支援策は国の交付金と連動した単発の給付事業にとどまっている。またセーフティネットとなる事業の中に基金が充当されているものがあるため、経常的事業に一般財源を充当できるよう歳出を縮減し、新しい事業への基金活用を求めた。「多様な主体との共創」(産官学連携)は共創そのものが目的化しており、市民との協働の進展に寄与しているとは言えない。一方、市民参加手法はオープンハウス形式が増えており、ワークショップのような市民同士の対話の場が十分では ない。市のまちづくり基本理念とも齟齬があると考え反対した。
2024年度一般会計補正予算第2号に反対
●市政施行70周年記念事業費 550万円
調布版『地球の歩き方』作成に向けた取材費用。70周年市勢要覧を『地球の歩き方』に含める本事業は総額1500万円の予定。まちの魅力を発信する市勢要覧作成は子どもや障がい 者含め、市民との協働で取り組み子ども参加や共生の充実につなげるべきだ。民間の収益に影響する冊子を税金で作成することの公平性にも問題がある。さらに、市民は作成費の税負担に加え、購入する必要があり二重の負担にもなるため反対した。
その他の主な事業
●繰越金を各基金に積立て
財政調整基金5.8億円・公共施設整備基金8.1億円余など
●性被害防止対策費 695万円
保育園に簡易パーテーションなど設置
●高齢者コロナワクチン定期接種費 2億2000万円余
定期接種化により一定の強制力が働くことが懸念されるが接種は任意。新ワクチンのレプリコンワクチンの安全性を懸念する声もあり、市HP上で各医療機関の正確なワクチン情報提供が必要
●高齢者肺炎球菌ワクチン接種補助金(対象66歳~)
1900万円余
●調布基地跡地福祉施設整備費 830万円余
府中市・三鷹市と合同で建設予定の重度障がい者向け 施設整備費
●木造住宅耐震化促進事業費1790万円
能登半島地震の影響で耐震化の取組みが進んだため増額
補正予算第3号に賛成
3月中に設置を予定していた調布駅前広場の新設トイレが入札不調となった。早期契約でトイレ空白期間を短くする ため、債務負担行為を設定し来年度予算を確保した。
国民健康保険税条例改正に反対・国民健康保険特別会計補正予算に反対
健康保険証廃止にともなう条例改正とシステム改修費を含む補正予算。マイナンバー法等の一部改正法にもとづくマイナンバーカードと健康保険証の一体化にともない、12月に健康保険証が廃止に。カード取得は任意であり、調布市民の約4分の1が未取得。任意とされているものを国民皆保険の下、医療と一 体化する進め方は事実上の強制であり認められない。
2023年度国民健康保険特別会計決算に反対
市は財政健全化計画にもとづき2023年度に2度目の税率引き上げを実施。被保険者の3分の2は年間所得200万円以下、コロナ禍や物価高騰、インボイス制度の影響を大きく受けた 自営業者もいるため引上げの見送りを求めていた。結果的に引上げの効果は小さく、一般会計からの繰入れを3億円以上増額、それが原因で都交付金は減額に。この結果を見ても、国保制度が破綻しており税率引上げだけで健全化は不可能であることは歴然としている。被保険者の実態に寄り添い税率引き上げは見送るべきだった。
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グリーンインフラで持続的で 魅力あるまちづくりを!!!
グリーンインフラとは、自然環境が持つ多様な機能を活用して、豪雨やヒートアイランド対策、生物多様性、緑の景観などに資する土地の利用や整備をしようとアメリカの都市部から始まった考え方です。日本では豪雨対策基本方針にグリーンインフラ整備を位置づけ、自治体での取り組みが始まっています。
温暖化による局所的な大雨の発生が増えた事に加え、地表を覆う舗装が拡がり、地中に浸透しない雨水が下水から溢れて一挙に河川に流れ、東京都での水害発生はこの40年で1.4倍になっています。そのため、河川の拡張工事や河の水を一時的に溜める調節池などの整備が進められていますが、グリーンインフラが増えれば雨水をゆっくりと浸透させて時間差で河川に流すことができます。
世田谷区では、今年3月にグリーンインフラガイドラインを策定し、区の公共施設、公園や道路での雨水浸透ますや雨水トレンチ、雨庭 (あめにわ)などの貯留浸透設備の整備を積極的に進めています。また、グリーンインフラ学校を開設し、自宅での雨水タンクの設置や、庭を雨の浸透性の良い雨庭にするための講習を通して、区民への周知を拡げグリーンインフラを進めるリーダー養成を図っています。
調布市でも今年度から雨水タンクの助成を始めていますが、市のガイドラインを策定しグリー ンインフラ整備を進 めるよう求めていき ます。 (D.K)
ごみリサイクルカレンダーには情報がいっぱい
コロナ禍の最中、エッセンシャルワーカーとしてごみ収集作業員への感謝の手紙が話題になったり、ロックダウンの影響で輸出できない古布がうずたかく積まれた映像を目にしたり、ごみ処理への関心が高まりましたが、ここにきてあまり意識することがなくなったような気がします。そこで改めて調布市のごみ処理の現状はどうなっているのか知りたいと7月16日、市の出前講座を利用してお話を伺いました。
なんと、昨年度の調布市の総ごみ量は58871t(市民 1日1人当たり673.5g)で過去最少になったということでした。理由として、コロナ禍の中整理をして出し尽くした、物価高騰で買い控えが起きている等が考えられるとのこと。次に、ごみリサイクルカレンダーに沿って分別の仕方、出し方 等の説明を伺い、質疑。「缶のフタや本体から外れたプルトップは?」 「不燃ごみに」・・・読めばカレンダーにはきちんと書かれていました。ごみアプリの他に、今年7月からは「調布ごみナビ」の運用が始まっていて、分別に迷うものをAIが教えてくれます。回収した古布の行方については、回収業者「富商」さんが買い取り、リユースできるものを梱包し、主にマレーシアに輸出し海外で再利用されていることが分かりました。
私もかつて調布市廃棄物減量及び再利用促進員だったこともあり、調布市のごみ分別や減量対策、市民の協力に誇りを持っていますが、税金をもっと有効に使うためにも「生ごみはあと一絞り」を頑張りたいと思います。(Y.S.)
活動報告
6/30 多様な学びプロジェクト「どうする?書字が苦手な子どもの
サポート」オンライン参加
7/12 巨摩郡昭和町小中学校インクルーシブ教育視察
7/20 おしゃべりカフェ (木下コロナ感染で中止)
7/26 調布市子ども子育て会議傍聴
7/27 東京・生活者ネットワーク「安全な地下水を取り戻す未来のために~
PFAS汚染に対して私たちにできること」
7/29 調布飛行場等対策特別委員会
7/31-8/1 臨時教育委員会(教科書採択)傍聴
8/7 市議会出前講座(深大寺小あそビバ)
8/17 おしゃべりカフェ (新学期前のモヤモヤを話そう)
8/27 調布市子ども子育て会議傍聴
9/1 野川流域連絡会「野川のグリーンインフラシンポジウム」
9/3-25 調布市議会第三回定例会
9/21 おしゃべりカフェ (PFASについて)
10/2-3 市議会長崎平和都市交流視察
※ご希望の方にPFAS出前講座を行っています。1~2時間。場所の確保はお願いしています。(無料)
人・まち・風
「スペードの会」~男性介護者同士が支え合う~
スペードの会代表滝澤勉
令和6年4月に、介護している男性が気兼ねなく情報交換できる「スペードの会」を立ち上げました。
一昨年、調布市地域デビュー推進委員会の委員として、ボランティア団体「調布 ケアラーの会クローバー」を取材させていただきました。その際、男性の相談者とお会いする機会があり、お母さまの介護の悩みや日常の厳しい介護生活の現状をお聞きしました。周りから孤立しがちな男性介護者、仕事と介護の両方でストレスを抱える男性介護者の実態を目の当たりにして、胸に迫るものがありました。
昨年の10月、「クローバー」の皆さんと、男性介護者だけの情報交換の場を設けようと、「男性介護者で集まろう!」と題した講演会を開催。そこに参加した11名の男性介護者が中心となって「スペードの会」が立ち上がりました。
「スペードの会」には様々な介護の悩みを持った男性介護者が参加されます。そんな皆さんから、「悩みを聞いてもらい気持ちが楽になった」などの嬉しい言葉をいただくと、「スペードの会」立上げの目的がかなったとつくづく思います。
~男性介護者がって支え合う~スペードの会
開催日時:每月第4金曜日 午後1時~3時
今後も定期的に「スペードの会」を開催し、介護で悩む男性の気持ちが楽になる居場所となれば幸いに思います。
11月 おしゃべりカフェ
*テーマ: マイナ保険証は絶対持たないとダメ?
*日時:11月16日(土)15時30分~17時(通常と開始時間が異なります)
*場所:市民活動支援センターコミュニティルーム(旧国領駅北ふれあいの家) *参加費:無料
*主催:調布・生活者ネットワーク
*申込み・問合せ:
電話 042-487-3087 (平日のみ13時から17時)
※おしゃべりカフェは、毎月第三土曜の午後に開催
野川水生生物調査
専門家から生き物のお話が聞けますよ!
11月23日(土・祝)9:30~11:30
集合:都営佐須町アパート内公園 (京王線国領駅から徒歩15分)
締切:11月18日(月)
申込・問合せ:電話042-487-3087(平日13時から17時のみ)