強い思いが蔵を守った

「新年おめでとうございます」とは言いながら、ロシアのウクライナへの攻撃が続くなど、厳しい世界情勢を抱えたままの年明けとなりました。今年こそ世界の平和と安心が取り戻せるよう祈るものです。

調布の皆さんで古刹深大寺に初詣でにいらした方も多いと思います。国宝の白鳳仏などが有名ですが、昨年はさらに155年前に建造された堅牢な蔵が、浅草から深大寺に移るというニュースも話題になりました。

江戸末期に材木商が建てた蔵の現在の持ち主は、村守恵子さん。中野・生活者ネットワークの最初の区議会議員です。父上から特殊金属の輸入会社を引き継いだ時に、村守さんがこの土蔵の詳細な調査を早稲田大学に依頼した結果、貴重な建造物だと判明しました。関東大震災にも、1945年の下町大空襲にも耐え抜いた名建築。以来、村守さんはこの蔵を会場に写真や絵の展示の他、琵琶の演奏や舞踏などの文化を発信してきました。

ところが、この一帯の再開発計画のために蔵も移転を余儀なくされ、一旦解体した上で移転先を探すことになりました。元の所在地の台東区と調布市両方の文化財保護審議会委員である稲葉先生の仲介で深大寺との縁が繋がり、深大寺の近くの斎藤倉庫で解体された材料が建築される日を待っています。

村守恵子さんの調査依頼と蔵への熱い思いがなければ、今回の話は起こりえませんでした。彼女の蔵への熱い思いによって実現した今回の移転と保存の話からは、何があってもあきらめない強い意志をもつことの大切さを改めて感じています。

日々の生活の中でも大小さまざまな困難にぶつかることがありますが、調布・生活者ネットワークは、市民生活の細部に宿る多様な問題に真摯に取り組みます。どうぞ日々の生活の中で感じる皆さんの思いを調布・生活者ネットワークまでお寄せください。

なお、蔵の再建への寄付を募るため、深大寺と協力して見学ツアーも計画されるようです。興味のある方は下記までお問い合わせください。

電話 「蔵を守る会」代表 村守恵子  03-3841-0114  Email: mail@gallery-ef.com